Cafe Panic Americana Book Review

管理人・大串尚代(慶應義塾大学)による書評のページ。旧CPABR (http://www.flet.keio.ac.jp/~pcres)からリニューアル。

2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者:田ノ口正悟(慶應義塾大学大学院博士2年)

アメリカ古典文学の「味」 「何度食べても美味しい。それが古典といわれる作品です。」高校時代、国語の授業中にある先生がこう言っていた。耐えられない眠気のために授業中は意識を飛ばしてしまっていることが度々あるわたしだったが、10年以上経った今でも…

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者:大島範子(慶應義塾大学大学修士2年)

揺らぐアメリカ 竹内勝徳・高橋勉の編集による本書『環大西洋の創造力―越境するアメリカンルネサンス文学』は、かつてF. O. マシーセンが1941年に「アメリカン・ルネッサンス」として位置付けた時代、すなわち、19世紀半ばのアメリカ文学に着目する。批評対…

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者: 細野香里(慶應義塾大学大学修士2年)

枠組みのその先へ―融解する国家と文学研究の今後 例えば、書店の海外文学コーナーに足を運んでみて欲しい。アメリカ文学、イギリス文学、フランス文学、ドイツ文学……。万国旗のように並んだ仕切りの表示を見ながら、これでは単体の仕切りの作られていない国…

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者: 永嶋友(慶應義塾大学大学修士2年)

ダイナミックな越境から日常的な越境まで 文学研究者は独自性を追求し過ぎると、自分の視野を狭めてしまうことがある。私を含めそのような悩みを抱く研究者にとって、大陸を横断するというダイナミックな読み方を提示するトランスアトランティック研究は、そ…

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者: 遠藤容代(慶應義塾大学大学院博士3年)

納まりきらないことの魅力 「アメリカ文学」の歴史を考える上で、F. O. マシーセンの『アメリカン・ルネサンス』(1941年)が果たした役割の大きさは、誰もが認めるところであろう。マシーセンは、国家としてのアメリカの隆盛と軌を一にしながら、世界文学たり…

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者:坂雄史(慶應義塾大学大学院修士1年)

裏返しのアメリカ文学 私が旅をするのは予見していたことが裏切られ新たな出会いをもたらしてくれることへの喜び、驚き、感動、そういった感情を味わいたいがためだ。竹内勝徳・高橋勤編『環大西洋の想像力』もそうした出会いを私にもたらしてくれた。昨今の…

書評『環大西洋の想像力—越境するアメリカン・ルネサンス文学』 評者:青柳萌里(慶應義塾大学大学院修士1年)

揺らぐ「境界」―大国アメリカの不安と想像力 我々の住む日本という国家は98.5%[i]が単一の民族で構成されている上に、移民政策を積極的に進めているという訳ではない。ガイジンという言葉に代表されるように、日本の多くの人にとって、国家の内と外の区別は…